• TOP
  • はじめに
  • 蒔絵概略史
  • 蒔絵師伝記
  • 作品展示室
  • 蒔絵用語辞典
  • 保存と修復
  • 印籠の装い
  • 発表論文
  • プロフィール
  • 研究日誌
  • リンク集
  • メール
  •  山本 武光 (やまもと たけみつ) 1815〜1870

    全体

    菊紋蒔絵香箱
    (きくもんまきえこうばこ)

     山本武光作

     製作年代 : 
    江戸時代末期
    嘉永〜慶応頃(1848〜1867)

     法量 :
    縦96mm×横100mm×高45mm

     鑑賞 :
    禁裏蒔絵常職、山本武光による香箱です。
     黒蝋色塗地に、十六弁の菊紋を詰めて表しています。 色漆を使わず、しかも単調にならずに、禁裏蒔絵常職として得意の御紋章蒔絵をした 山本利兵衛家の面目躍如たる作品です。隠し銘のような作銘であり、孝明天皇御用品の可能性もあります。

     意匠 :
    大小様々な菊紋を、まるで重なっているかのように描割にしながら詰め描きしています。 十六弁の菊花紋は皇室の御紋章です。 特に山本武光は、宮中より「菊花御紋章の描法特によろし」との御褒旨を賜り、 歴代で初めて禁裏蒔絵常職となっただけに、その描法は格別のものです。

     形状 :
    わずかに横が長い長方形角丸の香箱で、蓋甲を高く設けて塵居を設けています。印籠蓋造で、置口には 玉縁を巡らしています。底は緩く刳り、角に面を取っています。

     技法 :
    黒蝋色塗地に金・銀・青金粉の研出蒔絵と平蒔絵に朱金・絵梨子地を交えて、描割にしながら菊紋を散らしています。 箱内部も黒蝋色塗です。

     作銘 :
    底の角の面取部に、小さく「山本作」の蒔絵銘があります。 こうした場所に作銘を入れた例は非常に珍しく、 隠し銘の意図があったと考えられます。 「山本作」銘は、山本利兵衛家に伝来した山本武光「千羽鶴蒔絵三組盃」にもみられることから、 武光の作銘とみられます。 「耕作蒔絵印籠」(ヴィクトリア&アルバート美術館蔵)、 「藻鯉蒔絵印籠」等にも僅かに類例があります。

     伝来 :
    国内に伝来し、2019年に新たに確認しました。今回初公開です。

     展観履歴 :
    2020 京都市京セラ美術館「京都の美術 250年の夢」展


    ↑先頭に戻る 

    作者について知る⇒


    全体

    海松貝蒔絵小広蓋
    (みるかいまきえこひろぶた)

     山本武光作

     製作年代 : 
    江戸時代末期 安政5年(1858)

     法量 :
    縦270mm×横330mm
    ×高34mm

     鑑賞 :
    禁裏蒔絵常職、山本武光による小広蓋です。
     黒蝋色塗地に、研出蒔絵と高蒔絵で海松と貝を表しています。 伝統的な図様を堅実に謹直に格調高く表したもので、 御所、すなわち孝明天皇の御手元品の可能性が考えられます。

     意匠 :
    海松(海藻)に様々な種類の貝を組合せて散す伝統的な意匠です。漆工以外に染織品にもみられます。

     形状 :
    広蓋は衣類などを載せる、角丸で垂直の縁が付いた盆です。 小広蓋は衣類が載らない大きさなので、身の回りのものを載せたと考えられます。

     技法 :
    黒蝋色塗地に、海松(海藻)だけを焼金粉の研出蒔絵で表しておき、 その上に様々な貝を焼金粉と青金粉の高蒔絵で表しています。 このようにわざわざ研出蒔絵を併用したのは、江戸時代の職人らしいこだわりです。 縁の釦にも、比較的粗い焼金粉の平蒔絵とした入念な作品です。

     作銘 :
    器物本体には作銘はありません。

     外箱 :
    樅製、被蓋造、黒漆塗の外箱が附属しています。 蓋甲には「ミル貝蒔繪/小廣蓋」、底には「安政五年午十一月/山本武光造」と錫粉で 蒔絵されています。

     伝来 :
    2020年に京都の古美術市場で新たに出現しました。御所から下賜されたものと考えられます。

     展観履歴 :
    2021 国立能楽堂資料展示室
    「日本人と自然 能楽と日本美術」展


    ↑先頭に戻る 

    作者について知る⇒


    2020年6月18日UP
    2021年 9月 2日更新