昇龍斎光玉 (しょうりゅうさいこうぎょく
) 生没年未詳
桜蒔絵印籠 (さくらまきえいんろう)
昇龍斎光玉作 酒井抱一下絵
寸法 :
縦84mm×横59mm×厚17mm
製作年代 :
江戸時代後期
鑑賞 :
原羊遊斎の工房で職頭的な存在で働いていた、
つんぼの金次郎こと昇龍斎光玉が桜を蒔絵した印籠です。
羊遊斎銘とせずに自身銘で、しかも酒井抱一の下絵で制作した、極めて稀少な印籠です。
瑪瑙の緒締と松林斎作「散桜都鳥蒔絵根付」が取合わされています。
意匠 :
桜の老木を表裏に配しています。珍しいのは、桜の幹を印籠天部で折り返した構図としたことでしょう。
通常よりも、より3次元的なデザインですが、
違和感なく印籠のデザインとして完成しています。
形状 :
常形4段の印籠です。
技法 :
・黒蝋色塗金に梨子地粉や平目粉を蒔いた地塗で、
高蒔絵で桜の老木を描いています。
幹や葉に、一部青金粉も蒔いています。
・段内部は、朱蝋色塗地で、釦は金地です。
作銘 :
表左下に「抱一筆(文詮)」の下絵銘があり、
底部左下に「昇龍斎光玉作」と蒔絵銘があります。
「昇龍斎」か「光玉」銘のどちらかがほとんどで、
「昇龍斎光玉」で入れることは少ない傾向にあります。
また酒井抱一の下絵銘を入れた作品は、5点しか見つかっていません。
伝来 :
世界一の印籠コレクターであったエドワード・A・ランガムの旧蔵品で、蔵品番号1796に
あたります。2012年に日本に里帰りしました。
展観履歴 :
2019 東京富士美術館「サムライ・ダンディズム」展
2023 MIHO MUSEUM「蒔絵百花繚乱」展
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