印籠紐
結び方: 特殊な飾り結び
「献上結び」:
結び目が平面的になり、輪の付け根が絞られて、華やかな感じを受けます。
富山藩主前田家が贈答に使用した「林和靖螺鈿印籠」にも見ることができ、
もしそれがオリジナルの紐であるならば、幕末頃にはこの結び方が発明されていたことになります。
他にも古いもので数点実見したことがあります。
結びの名称は聞きませんが、前田家の献上印籠に因んで、仮に「献上結び」と呼ぶことにしました。
結び方は複雑で、長さも10cm余計に必要です。私が好きな結び方です。
「蟹結び」:
東京のある新古美術商に伝わった結び方です。「献上結び」から派生したものと思われます。
これも結び方の名称は聞きませんが、蟹のように見えるので、
仮に「蟹結び」とでも呼んでおきましょうか。
「千代久封じ結び」:
魚屋北渓による浮世絵「花園番続」には助六の印籠が描かれており、この結び方を見ることができます。
またアメリカ人コレクター、クインシー・A・ショー氏が東京国立博物館に寄贈した印籠コレクション
の紐は全てこの結び方です。 現代でも守袋の紐の結びに見られ、「千代久封じ結び」と呼ばれています。
印籠紐の結びとしては、現在ではほとんど見られません。
「結び切り」:
徳島藩主・蜂須賀家の伝来品に見られる特殊な結び方です。
根付は紐を通すだけで、印籠の下で結び切にして結び玉をつくり、
一見すると4本の紐を総角のごとく結んだかのように見えます。
飯塚桃葉作の「五十三次蒔絵印籠」・「雪芭蕉蒔絵印籠」(静嘉堂文庫美術館)・「葛鶸蒔絵印籠」(静嘉堂文庫美術館)・
「梨花精衛蒔絵印籠」などが江戸時代のままの形で遺されています。
2005年11月22日UP 2023年 7月30日更新 |
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