緒締玉図鑑 (おじめだまずかん)

 このページでは、江戸〜昭和初年まで印籠や煙草入などに取り合わせられてきた緒締玉を紹介しています。 天然石、人造石、細工物など多種多様です。
 鶴天・鳳天・茶金石など輸入の人造物には、おもしろいネーミングや、もっともらしい云われがあります。 半信半疑の怪しい物を珍重し、非常な高値で取引していた江戸人の性質は、 舶来品を盲目的に歓迎してしまう200年後の現代日本人にそのまま受け継がれているように思えます。

 珊瑚珠(さんごじゅ)
珊瑚は、日本では土佐から産出します。しかし江戸時代、土佐藩は幕府に遠慮して採集を厳禁していました。 そこで長崎からの輸入品に頼っており、それらは古渡珊瑚と呼ばれています。江戸時代に好まれたのは、薄桃色で、 濃い色が次、白色や黒色は下品とされました。写真は、伝世品の古渡珊瑚です。
 白珊瑚珠(しろさんごじゅ)
白珊瑚は、江戸時代には下品とされました。本品は阿波国徳島藩主蜂須賀家の伝来品で、 一点の虫穴もなく、純白の美しい古渡白珊瑚玉です。
 瑪瑙(めのう)
瑪瑙は、日本では古代から勾玉などにに使われていました。各地で産出しました。写真は伝世品の日本瑪瑙です。
 瑪瑙(めのう)
写真は明治以降さかんに産出された若狭瑪瑙です。
 水晶(すいしょう)
水晶も、日本では古代から勾玉などにに使われていました。 各地で産出しましたが、「装剣奇賞」によれば日向産を最上としたようです。
 孔雀石(くじゃくせき)
孔雀石は、炭酸銅と水酸化銅を成分とする緑色の鉱石です。緒締ではたまに見かけます。
 孔雀石(くじゃくせき)
孔雀石でも普通見るものとは異なり、柾目の部分を削り出して、 木目のような縞模様が表われています。
 瑠璃珠(るりじゅ)
瑠璃珠は、水酸化銅アルミニウム燐酸塩で、青〜緑色の不透明な鉱物です。 現代で言うトルコ石です。
 鶏血石(けいけつせき)
鶏血石は、辰砂と葉臘石が共生した天然石で、 鮮血のように鮮やかな赤を発色しています。国内では大和・阿波から産出したようです。
 鶴天(かくてん)
鶴天は、鶴頭とも呼ばれ、鶴の頭の骨と伝えられて珍重されいます。 最近では草食動物の臼歯を赤く染めたものだと考えられています。
 鳳天(ほうてん)
両面に赤い斑点があります。「装剣奇賞」によれば、 俗に鳳凰の頭の骨と言い、唐の鶴の頭の骨ではないか、と考察していますが、 もちろんウソです。と言って真実も分かっていません。 どうも、天然物に赤いガラスを溶かし込んだ人造品のように見えます。 孝明天皇遺品で皇女和宮に譲られた光柳作「胡蝶蒔絵印籠」(三の丸尚蔵館)にも、 鳳天の緒締が取り合わされています。あまり現存していません。
 茶金石・砂金石(ちゃきんせき・さきんせき)
茶金石(砂金石)は茶色地に金砂子がキラキラしているように見えますが、 ガラスに亜酸化銅の粉末を混ぜたイタリアガラスです。 江戸後期から輸入されました。日本人はこれを「金水晶」と呼び、天然石だと思い込んで珍重していました。 大名家でも印籠の緒締に使いました。ところが慶応年間に実はガラス玉であるという事実が広まって暴落し、 高額で仕入れていた嚢物商は大打撃を受けました。三代続いた老舗の小川屋などはそれが元で倒産しました。
 トンボ玉
トンボ玉は古代から現代まで作られているガラス玉です。
 胡桃(くるみ)
小さな胡桃の実を漆塗りとして、象牙で蝸牛を容彫して象嵌しています。紐通しの管は金無垢です。
 象牙
象牙は、もちろん象の牙です。 写真は象牙材の透かし彫りで、籐を編んだかのように仕立てた洒落たものです。
 ウニコール
ウニコールは、一角獣(ユニコーン)の角です。 写真は「竹虎図」を彫ったもので、紐通しの管は金無垢です。
 蒔絵(まきえ)
木製漆塗りに蒔絵したものです。
写真は朱蝋色塗地に、木目を研出蒔絵とした洒落たものです。
 堆朱(ついしゅ)
木地に朱漆を塗り重ね、文様を彫り、磨きあげたものです。 写真は牡丹の花を堆朱で表わしたもので、管は真鍮製です。
 白檀(びゃくだん)
写真は白檀の木地を宮中挽物師、戸澤左近が挽き、 宮中画所預、土佐光貞が、岩絵具で直接描いて、朱漆で在銘としたものです。
 金工 金無垢(きんこう きんむく)
金工の緒締は、彫金か鋳造技法によります。 写真は金無垢製で「松竹梅」を高彫りし、透かし彫りにもした、彫金のものです。
 金工 銀無垢(きんこう ぎんむく)
写真は銀無垢製で、高彫り、金色絵で「菊尽し」にした彫金のものです。
 金工 赤銅製(きんこう しゃくどうせい)
写真は赤銅製で槌目地に金色絵で「枯野に墓石」を片切彫にしています
 金工 四分一製(きんこう しぶいち)
写真は四分一製の緒締です。四分一は朧銀とも呼ばれ、銅4:銀1の暗灰色の合金です。 「傘を差す男」を片切彫と平象嵌にしています
 金工 金銅製(きんこう こんどうせい)
写真は銅製で瑞雲と瑞鶴を打ち出し、金鍍金されています。
 金工 鉄製(きんこう てつせい)
写真は鉄地に銀象嵌・銀覆輪です。
 金工 銀製(きんこう ぎんせい)
鐶状のものに匙状の金具が通っており、緒を絡めて通します。合提げ(あいさげ)によく使われます。 絡めてあるだけなので、緒を解かずに外すことができます。一説によれば、 このタイプのものは印籠内部の薬を掻き出すための、薬匙だとも云われています。
 金工 銅製(きんこう どうせい)
写真は銅製銀鍍金で、上下に七宝も入っています。平戸細工に分類されるものです。
 七宝(しっぽう)
金属胎に七宝釉を溶かした物です。写真は江戸期の古製品です。
 陶製(とうせい)
陶製の緒締めです。
写真は中国風の「瑞雲に龍」を赤絵染付けとしたものです。
 陶製(とうせい)
京都の永楽善五郎作の緒締で、菊を置上げした蛤形の香合を模したものです。 団扇形の根付と共で作られ、それぞれの裏に「永楽」印があります。
2006年10月10日UP
2009年10月11日更新