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     結び方:
     江戸時代から様々な結び方があります。しかしテレビの水戸黄門のように房になったものは、ほとんど見ません。 多くの場合、結び目は根付の側であって、印籠の下には飾り結びを作ります。

     実際、江戸時代はどうしていたのでしょうか?旧大名・公家の売立目録所載品や伝世品の印籠は、 実用時代のまま、保存されていたと考えられます。 それらを見ると、意外なほど、小さく簡素に結んでいます。 飾り結びがないものすら少なからずあります。そうかと思うと、 だらりと長く垂らしたものもあります。 輪の数も一つのもの、二つのもの、三つのものもあります。

     こうしたことを踏まえて、現代においては、どうすれば美しく見えるか考えてみましょう。 印籠の大きさに比例して、小振りな印籠であれば、一つ、二つの輪もよく、 一般的な印籠であれば3つの輪が良いでしょう。 輪はどのくらいの大きさがよいかもしばしば意見が分かれるところであり、好みがでるところです。 昔のように小さい結びでもよいのですが、ちょっと貧弱に見える気がします。 私の好みでは、印籠の幅から1〜2割くらいはみ出るくらいに輪を結ぶとバランスが良いと思います。 そうすると紐の自重で少し垂れた時に、ちょうど印籠の横幅くらいになります。 また、左右全ての輪は同じ大きさになるように丁寧に調整します。私は上のようなフォーマルな「献上結び」を好みます。 粋な感じにしたり、新しい結びを発明したりと、趣向を凝らすのも楽しいでしょう。
    2005年11月22日UP