• TOP
  • はじめに
  • 蒔絵概略史
  • 蒔絵師伝記
  • 作品展示室
  • 蒔絵用語辞典
  • 保存と修復
  • 印籠の装い
  • 発表論文
  • プロフィール
  • 研究日誌
  • リンク集
  • メール
  • 緒締 (おじめ)

    緒締は、「緒〆」とも書きますし、古くは、「緒留」・あるいは「根占め」などと記されていることもあります。印籠と根付の間にあって、印籠の蓋が開かないようにするためと、二本の紐を1本に纏める役目を持っています。

     緒締には珊瑚玉・瑪瑙玉・琥珀玉・孔雀石・水晶玉・トンボ玉・金水晶・金工・陶製など様々なものがあります。蒔絵の印籠には、作品の意匠・技法にもよりますが、 珊瑚玉・瑪瑙玉・琥珀玉・孔雀石・水晶玉・金工などが合います。何にでも合って、一番無難なものは珊瑚玉です。今は血赤と呼ばれるものが高価とされていますが、江戸時代はやや赤い桃色が好まれました。そして珊瑚玉は富の象徴でしたから、大きなものが好まれました。旧大名・公家の売立目録や伝世品を見ると、異常に大きなものが付いています(※右図)。中には七分玉などという、印籠の厚みより大きなものが付いていることもあります。そこまですると、現代では滑稽に見えてしまいます。しかし印籠は男性の持ち物ですから、あまり小さい緒締玉では貧弱になります。 印籠と根付のバランスを見て、ある程度の大きさのものを選びましょう。

     また、緒締はあまり上の方へ上がってしまうとバランスが良くないので。展示などの際には、ある程度印籠に寄せて紐を締めた方が良いでしょう。

    ※巨大な緒締が取り合わせられた実例。
    紀伊徳川家伝来の中大路茂永作「鶴蒔絵印籠」。
    図版は昭和8年の「静和園蔵品展観目録」。
    2005年11月22日UP