古満 休伯 安明 (こま きゅうはく やすあき) ? 〜1715
長春山吹蒔絵硯蓋 (ちょうしゅんやまぶきまきえすずりぶた)
古満休伯安明作
製作年代 : 江戸時代中期
元禄〜正徳頃 circa1700
法量 :
縦261mm×横241mm×高34mm
鑑賞 :
古満家の4代久蔵安匡が2代休伯安明作と極めた硯蓋です。
高蒔絵に平文、切金を緻密に多用した豪華なもので、常憲院時代の思潮が感じられます。
意匠 :
見込みに「長春花」の漢名を持つ薔薇と、山吹の折枝を組合せて描いています。
形状 :
角丸長方形の硯蓋で、4側面に胴張りがあります。甲には塵居を設け、銀覆輪をめぐらしています。
硯蓋とは、元来硯箱の蓋を裏にして食膳具にしたことに由来しますが、
本作の場合、実際に字義とおり、古い硯箱の蓋を硯蓋に転用した可能性もあります。
技法 :
見込みは玉梨子地に焼金粉、青金粉の高蒔絵が主技法です。
薔薇の花は銀粉で高上げし、朱金に付描で、葉は付描と描割で表し、切金を置いています。
重なるように配された山吹の花は、金平文に付描で、葉は付描と描割で表しています。
外面は黒蝋色塗の無地で、見込の表面の劣化に比べて塗りが新しく、
古満安匡が極めを行った際に、全て塗り直されたと考えられます。
縁には銀覆輪が廻らされています。
作銘 :
見込の右下に「古満安明作/古満安匡極之」の蒔絵銘があります。
古満家の当主が、先祖の作品を極めた例は多くありません。
これまで確認されていたのは重要文化財「柴垣蔦蒔絵硯箱」(東京国立博物館蔵)と
「竹蒔絵印籠」のみでした。
「柴垣蔦蒔絵硯箱」には「古満休意作 同休伯安章極之(花押)」とあり、
3代休伯安章が初代休意作と極めたものです。
「竹蒔絵印籠」には「古満休伯安明作/同休伯安章極之」とあり、
3代休伯安章が2代休伯安明作と極めたものです。
本作では、4代久蔵安匡が2代休伯安明作と極めています。
外箱 :
桐製印籠蓋造の外箱が附属し、「蝋色長春ニ山吹蒔繪小硯蓋 壹枚」の表書と「本/沓水(沓水)」との
旧蔵者の書付と印があります。沓水姓は関西圏に多いようです。
伝来 :
京都の道具商の市場で2019年にうぶで出現したものです。
展観履歴 :
2023 MIHO MUSEUM「蒔絵百花繚乱」展
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2020年 2月 2日UP
2023年 8月13日更新
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