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  •  田村 壽秀 (たむら ひさひで) 1757〜1833?

    全体写真

    菊蒔絵棗 (きくまきえなつめ)

     田村壽秀作 光格上皇御物

     製作年代 :
    江戸時代後期 文政4年(1821)

     法量 :
    径82mm×高60mm

     鑑賞 :
    黒蝋色塗地に大輪の菊をただ1つだけ高蒔絵にした印象的な作品です。共箱で、しかも年齢・年紀が入った基準作品で、 光格上皇の所用品でもあります。京都の漆工史上、極めて重要な作品です。

     意匠 : 拡大写真
    大輪の八重菊をただ1つだけ、肩にバランスよく配置しています。 もとより菊花は皇室の御紋章でもあり、御物にふさわしい意匠です。

     技法 :
    黒蝋色塗地高蒔絵で表現しています。 花びらの1枚1枚を高上げして作り上げています。花びらの隙間の谷を描き割りで形作っています。 花芯は青金粉溜地に付描で点を打って表現しています。
     棗の内側は、黒漆の真塗りで、釦は金地です。

     作銘 :
    底の左に「寿秀(花押)」の蒔絵銘があります。 

     共箱 :
    銘写真 箱写真 共箱は四方桟蓋の桐箱で、緑色の真田紐が付いています。 表書は「大海棗/菊蒔絵」とありますが、 これは見込みの広い茶器が「大海」と呼ばれているためです。 蓋見返し左下には壽秀が制作した際の「文政辛巳秋日/六十五歳/寿秀作」の墨書 と「壽秀」の白文長方形朱印があります。 右には「天保四年三月十八日/従 洞中拝領御/物之由従殿下拝棗」との墨書があって、 これは「洞中」つまり仙洞御所=光格上皇から拝領した際に拝領者が書き付けたものです。 また箱の身の見込みには「袋/ランケン裂/乱絹」との墨書があり、仕覆が襴絹であったことが分かります。

    箱蓋表写真 箱蓋見返写真 箱見身見込写真














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    月秋草蒔絵印籠
    (つきにあきくさまきえいんろう)

    全体写真

     田村壽秀作

     製作年代 :
    江戸時代後期 文化14年(1817)

     法量 :
    縦80mm×横58mm×厚21mm

     鑑賞 :
    青金地高蒔絵の清楚で豪奢な印籠です。 仁孝天皇の注文とも考えられます。 トンボ玉の緒締と、鉄刀木に秋草鶉の金工を象嵌した饅頭根付が取り合わされています。

     意匠 :
    満月に風に吹かれる萩と桔梗の秋草を配しています。 

     形状 :
    常形4段の印籠です。

     技法 :
    ・地は青金粉溜地に平目粉を打ち込んだ鹿子金地としています。月は銀の研出蒔絵です。 秋草は高蒔絵で、萩の葉は高蒔絵の描割りとしています。桔梗の花は肉取りが上手く、蕊は付描きです。
    ・内部は叢梨子地です。

    表写真 裏写真 銘写真











     作銘 :
    内部写真 底に「文化丁丑冬/寿秀」と、朱漆で「東渓」の白文方形印があります。 光格天皇が黒地研出の作品を好んだのに対し、仁孝天皇は金地の作品を好んだようです。 仁孝天皇はこの年の秋、9月21日に即位されました。 ひときわ豪華で画題も秋草なので、即位を記念した制作とも思われます。

     伝来 :
    長らくヨーロッパにあり、1996年に日本に里帰りしました。 蓋裏に「甲/百四十」との貼札があります。




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    2007年11月24日UP
    2017年 9月23日更新