梶川文龍斎 (かじかわぶんりゅうさい) 生没年未詳
名物裂尽蒔絵印籠 (めいぶつぎれづくしまきえいんろう)
梶川文龍斎作
製作年代 :
江戸時代後期
明和・安永頃(circ.1770)
法量 :
縦70mm×横42mm×厚26mm
鑑賞 :
徳川将軍家の御蒔絵師、梶川家の明和・安永頃の当主と考えられている梶川文龍斎による精緻な印籠です。
珊瑚の緒締と七宝入平戸細工鏡蓋根付が取り合わされています。
意匠 :
各段を二分割して枠を作り、名物裂等の様々な模様を区画ごとに替えています。上から松・唐草・花菱繋・唐花蔓草・福壽・浮線綾・蜀江文・竹・七宝繋・菊菱・青海波、
裏は梅散・雨龍・七宝繋・唐草・瑞雲・菱繋・花入蜀江文・木目・算木・花菱繋・忍草、天部に浮線綾、底部に花兎文散としています。
形状 :
江戸形、4段の小ぶりな印籠です。天地の甲を高く盛っています。
技法 :
・総体黒蝋色塗地とし、区画ごとに付描でさまざまな名物裂を色漆を交えて表しています。
一部に螺鈿も用いています。
・段内部は銀梨子地です。
作銘 :
紐通の側面に「官工/文龍斎」の蒔絵銘と朱漆で花押があります。
伝来 :
同趣で、枠を金粉溜地にした旧ベーレンス・コレクションの「官工/梶川文龍斎」銘の印籠
は古くから欧米で名品として知られています。
一方、本作は、国内にあって実際に提物として実用に供されていたもので、2017年に新たに発見しました。
展観履歴 :
2023 MIHO MUSEUM「蒔絵百花繚乱」展
↑先頭に戻る
→作者について知る
2017年12月31日UP 2023年 7月15日UP
|
|