は行
盃洗はいせん盃を洗うための容器。酒席などで使用する。
盃洗台はいせんだい盃洗を載せる盆状の台。盃洗と揃えて作られる。 台を使わず畳に直接置く場合も多い。
盃台はいだい盃を置くための台。酒席などで使用する。
盃盤はいばん盃台の古称。
はかま徳利を置くための台。
はく金属を薄く紙のように伸ばしたもの。
箔ばさみはくばさみ箔を取り扱うための竹製のはさみ。
刷毛はけ漆を塗るための道具。 女性の髪を束ね、2枚の板にはさんで固めてあり、削り出して使う。
刷毛目塗りはけめぬり故意に刷毛目を残した塗り方。
箱書はこがき外箱に墨や・漆・蒔絵で、収納した作品について書くこと。また書いた字句。
箱書付はこかきつけ箱書された字句。
箱根付はこねつけ漆器製の箱形の根付。通常手箱のように、被蓋や印籠蓋になっており、身の底に紐孔、蓋の内側に紐通しが付く。
挟箱はさみばこ武士が外出時に 衣類その他を収めて下僕に担がせた箱。担い棒を通して肩から後ろに担ぐ。 箱は漆塗で家紋などを蒔絵することもある。 身分・格式によって、厚房や覆などの仕様や、行列の先か後ろかなど細かく規定されていた。
はし食事に用いる2本で一対となる棒。 高貴の箸は杉の白箸を使い捨てとした。現在主流の塗箸は、採箸から発展したと考えられる。
はち皿よりも深く、口が開いた容器。漆器では菓子鉢などがある。
はつり目はつりめ 椀などで。粗くはつった肌を残したもの。
鼻紙台はながみだい鼻紙を置くための台。 紙台ともいう。天板を盆状とし、柱を建ててその下を空間とし、 下段に引き出しが付く。引き出しは2段程度で化粧台に比べて高さが低い。
花塗りはなぬり漆塗りの上塗りで、油分を含んだ漆で塗り、磨かない塗り方。
羽根蒔絵はねまきえ鳥の羽根を表した蒔絵。江戸期から見られるが、有名なのは、明治以降に起立工商会社で西尾卓郎によって考案されたもので、 白山松哉が得意とし、その門流にも伝えられた。
破笠細工はりつざいく小川破笠の作品および、破笠を模倣した作品。通常陶器の象嵌や墨形塗りなどのことを指す。
針掻きはりがき文様の線を蒔絵してから、針のような細いもので引掻いて表すもので、修正がきかず、熟練を要する。
針書きはりがき蒔絵や塗り面から、針のような細いもので引掻いて文字や銘を表すもの。
針書銘はりがきめい蒔絵や塗り面から、針のような細いもので引掻いた銘。針銘ともいう。
張懸けはりかけ変わり兜や兜の脇立てなどで紙を張り重ねた下地を使い漆を塗り重ねたもの。
張抜きはりぬき張貫と書く。茶器などで形(かた)に紙を張り重ね、その後、形を抜いたものに塗りを施した漆器。
貼札はりふだ所蔵者が整理番号・作品名・作者などを記した紙で、外箱に貼られる。
針銘はりめい針状の道具で細く彫り付けた銘。棗など茶道具に見られる。
飯器はんき米飯を入れる容器。飯櫃ともいう。
引き砥ひきど砥石を小刀の背で削った砥粉。金粉を磨く際に使う。
引盃ひきさかずき茶懐石で使う、同形・同寸法の重ね盃。多くは五枚か十枚組。 盃台の重ねて載せて客に回す。一枚引いて次客に回すことにちなむ。
蟇肌ひきはだ 刀の鞘に被せる革製漆塗りのカバー。乗馬雨天の際などに使用した。塗り肌が蟇蛙に似ていることにちなむ。
挽物ひきもの轆轤(ろくろ)を使って円形に削って成形した器物。椀・棗・盃など。
挽物師ひきものし挽物を専門とする職工。
提子ひさげ提銚子のこと。
筆架ひっか硯箱で、筆を載せるための桟。
引掻きひっかき文様の線を蒔絵してから、竹箆などで引掻いて表すもので、修正がきかず、熟練を要する。
姫印籠ひめいんろう 極小の印籠。愛玩品として作られたり、人形の帯に提げる印籠のミニチュア。大正昭和初期に花柳界で流行した。 芸妓や舞妓が胸元に提げた極小の印籠。
紐通しひもとおし 1:印籠の両脇にある紐を通す管。
2:根付に空けられた紐を止める孔。
百貫張ひゃっかんばり陣笠などの胎に和紙を百回近く貼り重ねる技法。 百重張(ももえばり)ともいう。
百工比照ひゃっこうひしょう加賀前田家五代前田綱紀が命じて始められた工芸見本の実物を収めたもの。
描金びょうきん蒔絵のこと。
描金工びょうきんこう蒔絵師のこと。
平文ひょうもん金・銀の板金を文様の形に切り抜き、塗面に貼り付け、塗り込んだ後、 文様部分を研出すか、摺り剥がして文様を表わす技法。
平粉ひらふん蒔絵粉で、丸粉をつぶして平たくしたもの。
平蒔絵ひらまきえ主要な蒔絵加飾技法の一つ。漆面に絵漆で模様を描き、金粉を蒔きつける技法。
平目地ひらめじ平目粉を蒔いた地塗り。
平目粉ひらめふん平目地に使う金属粉。丸粉を平たく伸ばして作る。
広蓋ひろぶた衣服などを載せる盆、隅丸で比較的高い縁が付く。
覆輪ふくりん縁を金属板で被せたもの。
1:籠蓋造の箱物で合口部に錫板・銀板などで被せた物。
2:刀装用語。太刀拵などで鞘や柄の刃・棟方に細長く全長にわたって添わせた金属板。また鍔の縁に添わせた金属板。
房紐ふさひも単に房とも言う。箱物の鐶に付け、 蓋甲で結んで蓋が開かないようにする紐。 婚礼調度では通常、絹製朱色の丸打ちの組紐で、朱房と呼ぶ。また組紐を同色の裂で包む場合も多い。
縁塗師ふちぬし屏風の縁を塗る職人。
笛筒ふえづつ笛を収納する筒。
笛巻塗ふえまきぬり鞘塗りの1つ。笛のように直角に等間隔に段差をつけた塗り方。
拭き漆ふきうるし木地、塗り面を漆で拭いて艶をだしたもの。
袋物・嚢物ふくろもの江戸時代に発生した煙草入れをはじめとする袋物、提げ物の総称。
袋物商・嚢物商ふくろものしょう江戸時代に発生した煙草入れをはじめとする袋物、提げ物を扱う商人。江戸の高級店では衣類など身の回りの物一切を扱った。
腐食螺鈿ふしょくらでんエッチングの要領で、漆で文様を描き、硝酸で溶かして文様を残す螺鈿技法。
伏彩色ふせざいしき螺鈿の裏側に、岩絵の具などで彩色をして、貝を透してその色を見せること。
蓋裏銘ふたうらめい印籠の蓋の裏、あるいは箱物の蓋裏にある銘。
縁高ふちだか重箱に似て蓋のないもの。茶席で使う。
ふで硯箱に収める5点セットの一つで、揃いの塗りや蒔絵が施される場合も多い。筆2本・小刀1本・錐1本・墨挟み1本の5本で一具となる。書を書くために、墨を付けて使う。キャップが付く場合も多い。
文箱ふばこ・ふみばこ書状を収納する箱。印籠蓋造り、被せ蓋造りが多い。鐶が付き、紐を結んで蓋を閉めたり、1本の平たい革緒を金具で止めるものなどがある。蓋甲に宛名を墨で書けるようにしたものも多い。
筆前ふでまえ蒔絵で、筆描きを専門とする職人。
ふるい粉溜地を作る際、粉筒を使うと斑になる場合に使う。
風呂ふろ塗蒔絵の際に、乾固させる際温湿度を調整し、塵を防ぐために 密閉する引戸あるいは扉が付いた棚。
風呂塗師ふろぬし茶道具の土風呂を塗る職人。
粉固めふんがため蒔絵の工程で、蒔き付けた金属粉を固着するために、漆を吸い込ませたり、塗り固めること。
文庫ぶんこ手文庫ともいう。書籍・書類・料紙を納める箱。
文庫硯ぶんこすずり料紙箱・硯箱の揃いの略語。
粉匙ふんさじ金属粉を粉筒に入れるための匙。
文台ぶんだい短冊・懐紙を載せる台として発生し、後には硯箱と揃いで作り、文台・硯箱で一具とする。
文台硯ぶんだいすずり文台・硯箱の揃いの略語。
ふん蒔絵に使う金属粉の総称。
粉固めふんがため蒔絵の工程で、粉蒔きの後で、蒔絵粉を固着するために 希釈した生漆を吸わせること。
粉溜地ふんだみじ地塗りで金属粉を蒔き詰めたもの。金粉を蒔き詰めたものを金粉溜地、銀粉を蒔き詰めたものを銀粉溜地という。
粉箪笥ふんたんす様々な種類の金属粉を収納する箪笥。
粉筒ふんづつ金属粉を蒔くために使う筒。先にメッシュを貼って粉が落ちる量を調節する。
粉蒔ふんまき蒔絵の工程で、金属粉を蒔き付けること。
粉蒔地ふんまきじ金属粉をまばらに蒔いた地塗り。砂子地・塵地などともいう。
粉屋ふんや金属粉を扱う商人・商店。
へぎ目へぎめ盆や折敷などで、板を薄く2枚に剥ぎ割った肌をそのまま残したもの。
へら檜の薄い板で作ったもので、漆を練ったり、下地を付けたりするのに使う。
弁柄漆べんがらうるし弁柄を混ぜた漆。絵漆に使う。
弁柄べんがら赤味の強い茶色い顔料で、主成分は酸化第三鉄。
朴炭ほおずみ朴を焼いた炭。下塗りの漆を研ぐのに適する。
彫銘ほりめい作銘を入れる場合に、作品の漆面に彫って銘書きした銘。
本朱ほんしゅ朱の顔料で、硫化水銀から作った朱。

2005年11月22日 UP
2008年 1月 1日 更新